昨今、メディアを通じてよく耳にするようになったSDGs。ここでは、SDGsの概要や食品産業との関係について詳しく解説しています。
SDGsとは、2015年の国連サミットで設定された世界共通の目標のこと。「持続可能な開発」と訳されるSDGsでは、2030年までに世界全体で達成すべき目標として17の項目を掲げています。
具体的な目標項目としては、たとえば貧困問題を解決すること、全ての人が健康に暮らしていけること、クリーンなエネルギーを作り続けること、不平等をなくすこと、気候変動に向けた対策を推進すること、誰もが平等に質の高い教育を受けられるようにすること、など。今だけではなく、将来にわたって継続的に追い続けるべき目標であり、また追い続けられるはずの目標として、国や地域、企業か個人かを問わず、達成するための目標です。
SDGsが掲げる目標は、将来的に全世界が目指すべき姿にほかなりません。この姿こそが、ビジネスを展開する上での軸となるでしょう。
趣向や味覚が多様化し、時に食品産業はビジネスという大海原で迷子になることがあるかもしれません。常にSDGs達成という軸を振り返ることで、社会が必要とする商品開発やイノベーションを迷わず追求することができる、そうした道しるべとなります。
SDGsは全世界が達成すべき目標です。見方を変えれば、全世界にはまだまだ達成されていない多くの課題があるということです。
この課題は、業界を問わず長期的なビジネス上のリスクにつながるもの。常にSDGsという軸足を持つことで、長期的なビジネス上のリスクを回避できるようになるでしょう。
すでに日本の教育現場においても、SDGsの達成は当然のように指導されています。今後、子供たちが大人になり主体的な消費者となる時代において、SDGsを意識していない事業者は信頼を失う可能性さえあります。
とりわけ人の健康に直接関わる食品産業においては、消費者からの信頼を獲得し事業発展を目指す上で、SDGsを追求する姿勢は重要だと言えるでしょう。
SDGsが掲げる17の目標の中から、特に食品産業と関連が深いと考えられる3つの目標について見てみましょう。
目標12は、製造者と消費者の両方が責任を持って行動することを求めた目標です。食品産業にも密接に関係している目標で、とりわけ食品ロスの問題については、食品会社と消費者の両方の責任・自覚がなければ、解決を図ることができません。
食品ロスは、日本だけではなく世界中の課題。世界中で生産された食品のうち、実に1/3にあたる量が廃棄されていると言われています。
目標9は、各業界における技術支援や研究・イノベーション、ITへのアクセス拡大を通じ、世界の産業の安定化を図ることを目的に設定されました。
食品業界においては、各部門における機械化やIoTを通じ、生産効率化と省人化を目指すべきという目標に置き換えられます。また日本においては、高齢化社会に適した機能性食品や健康食品の研究・開発を進めるべきとの目標にもつながるでしょう。
目標7では、具体的に「再生可能エネルギーの活用」や「地球に負荷を与えないエネルギー利用技術」などが掲げられています。
食品産業を稼働させるためには、膨大な電力・動力などのエネルギーが不可欠です。現状は再生可能エネルギーのみで食品産業全体を支えることは不可能ですが、一部の商品工場の中には、すでにクリーンエネルギーの導入を始めているところもあるようです。
食品工場が上記7の目標を達成するためには、工場施設における化石燃料の使用を削減し、その代替として新技術を活用した生産工程の改善を図る必要があります。生産工場・流通ネットワーク全体が協力して取り組むことで、より効果的に目標達成を目指すことができるでしょう。
すでにこの目標達成に向け、具体的に取り組んでいる食品工場があります。
北海道にある某食品製造工場では、製造工程で発生する廃棄物や生ごみ資源を利用し、メタン発酵によるバイオガスを生成。このメタンガスと廃食用油のバイオディーゼル燃料を使って発電し、工場で自家利用するという取り組みを行っています。2017年、この工場では、自社部署内で使用する電力を自家発電から得る取り組みをおこなっています。
参照元:株式会社アレフ公式 | 脱炭素社会の実現に向けた取り組み(https://www.aleph-inc.co.jp/csr/decarbonization_2020/)
アイスをはじめとした様々な商品の展開で人気のフタバ食品。SDGsの実現に向けた取り組みにも熱心な食品メーカーですが、その中の取り組みの一つが下栗工場・喜連川工場への「とちぎふるさと電気」の導入です。
とちぎふるさと電気とは、栃木県と東京電力が協力して県内事業者を対象に販売している電気メニュー。県内の水力発電所で発電した電気を使用し、電力使用に伴うCO2排出量ゼロ、および送電ロス(※)の削減に貢献しています。
※送電ロス…発電された電気がユーザーに供給されるまでに失われる電力量
参照元:「フタバ食品株式会社HP」
https://www.futabafoods.co.jp/lp/sdgs/
本間製パン株式会社では、SDGsの一項目「つくる責任 つかう責任」に関連し、自社製品の食品ロスを最小限に抑える取り組みを行っています。
工場で余って販売に至らなかった製品について、たとえばパンの耳を使用した「スティックラスク」、形の悪さではじかれたクロワッサンを使用した「クロワッサンラスク」などを製造。また、直営するベーカリーショップでは、毎日生じたロス商品を焼き菓子として再販するなどし、自社製品の年間食品ロス10%削減を目標に取り組んでいます。
参照元:「本間製パン株式会社」
https://www.honma-bread.com/sdgs.html
孤食の解消と共食機会の創出を目指し、2020年からハウス食品では、全国のこども食堂に向けた食品支援活動「えがお便」に取り組んでいます。
支援内容は、全国のこども食堂に向けた自社製品と季節のレシピの提供。梱包の中には、各こども食堂に向けた直筆の手紙も添えています。
コロナ禍で共食の機会が減る中ではあったものの、2020年度は120食堂に製品をお届け。食堂のこどもたちからは、感謝の手紙や写真が送られています。
参照元:「ハウス食品グループ本社株式会社」
https://housefoods-group.com/csr/sdgs/customer/index.html
味付け油揚げのフロンティア的な存在として知られるオーケー食品工業。SDGs「すべての人に健康と福祉を」の実現に向け、油揚げの原料となる大豆の流通経路や残留農薬検査等を徹底して行っています。
流通の一環として特に力を入れているのが、米国産サステナビリティ大豆の使用。品質はもとより消費者へ安全・安心を提供するため、同大豆の使用を徹底しています。
2020年には同大豆の継続使用の実績、および米国サステナビリティ構築システムの理解が評価され、アメリカ大豆輸出協会(USSEC)から表彰されました。
参照元:「オーケー食品工業株式会社」
https://ok-food.co.jp/advantage/sdgs/
豆乳、および豆乳を使用した各種食品の製造大手として知られるマルサングループ。SDGsへの取り組みに熱心な食品メーカーですが、紙パックを多く使用する企業としての責任を果たすべく、紙パックの原料となる「森林の持続的な保全」に向けた取り組みを行っています。
具体的な取り組み内容は、「公益社団法人 国土緑化推進機構」への寄付、同機構や関連団体の活動への協力など。それらの活動は高く評価され、2021年1月には林野庁長官から感謝状が贈呈されています。
参照元:「マルサンアイ株式会社」
https://www.marusanai.co.jp/sdgs/
世界中すべての共通目標として掲げられているSDGs。今後、達成に向けて真剣に取り組む企業もあれば、取り組みが遅い企業も出てくるでしょう。世界の共通目標であり、消費者の目が厳しくなっていくことを考えると、後者のような企業では消費者が離れていくかもしれません。
とりわけ食品産業においては、SDGsは重要な目標となります。食品というセンシティブな品目を扱う以上、他産業にも増して消費者の目は厳しいものとなるでしょう。日本中の食品工場がSDGsの達成を目指し、特にクリーンエネルギーを使った姿へと変わることが期待されます。
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