食品工場の課題のひとつは、エネルギー効率の最適化です。多くのエネルギーを使用すると同時に、多くのエネルギーを発生させる工場では、省エネが実現することで、コストダウンにつながり、企業としての競争力を向上させることにもつながります。エネルギー効率化の方法のひとつが排熱利用です。ここでは、食品工場の排熱回収利用方法と事例を紹介します。
工場や設備で発生する余剰の熱エネルギーを有効活用することを排熱利用といいます。食品工場の排熱利用においては、「蒸気の再利用」「排熱水の活用」「ヒートポンプの利用」といった方法があります。工場で発生する熱は、何もしなければ放熱されるだけです。この熱を再利用することで、設備稼働を最適化することが可能です。
せっかく発生した熱を再利用することで、省エネ効果があります。エネルギーコストを削減し、設備稼働が最適化されることが大きなメリットです。また、化石燃料の使用量を減らすことに繋がり、二酸化炭素排出量の削減にも貢献します。結果として、電力やガスの消費量を削減。エネルギーを効率的に利用できるため、生産コストを抑えられます。コストを抑えることで向上するのは利益率です。企業の競争力向上まで期待できます。
未利用熱活用状況調査として調査票を送付。2015年1月に食料品、パルプ・紙、化学、石油・石炭、窯業・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、機械、輸送機械の9業種、2017年3月に繊維、電気機械、ガス、電力、清掃、その他製造業の6業種に対して送付した調査票の結果に電話等でヒアリングした結果を加え、データの整理・分析を行った内容が産業分野の排熱実態調査 報告書で報告されています。
回答企業においては、排熱回収ボイラ、レキュペレータ、エコノマイザなど、既存の排熱回収利用機器の導入が進んでおり、投資相応の省エネルギー効果が得られているということがわかったとされています。
熱源からプロセスまでの距離が長い現場も多数あり、断熱の恒常的な確保や熱源の分散化など、熱輸送に伴う放熱損失を抑制する対策も今後の課題として挙げられていました。
参照元:NEDO「産業分野の排熱実態調査 報告書」(https://www.nedo.go.jp/content/100957934.pdf)
【課題】
ボイラ給水タンクからの蒸気漏れが気になっていました。乾燥機からの高温ドレンを改修していたものの、もっと有効な方法はないかを模索。加えて、濃縮機からのドレン回収ができないか検討していました。
【成果】
濃縮機からの廃熱回収と乾燥機からのフラッシュ蒸気再利用を導入。乾燥機からの100℃の高温ドレンを回収した上で、その高温ドレンからのフラッシュ蒸気をプロセスに再利用するシステムです。このシステムにより年間約500万円の省エネメリットを試算できました。
製品を液体から粉末にする工程で大量の蒸気を使用していました。濃縮機からのドレンは製品を含んでいるため、回収はできません。そこで、ドレンから廃熱を回収してボイラ給水用と熱交換するシステムを構築。これにより、年間100万円ていどの省エネメリットが出る試算となりました。
試算通りの結果が出て、燃料費4%削減を実現しました。
参照元:spiraxsarco(https://spiraxsarco.co.jp/casestudy/food03.php)
排熱を効果的に活用するためには、蒸気や熱収支の現状把握が重要です。どの工程でどのような排熱がどれくらい出ているのかを確認することで、エネルギー利用を効率化できます。
たとえば、高熱の排熱を蒸気に利用するなら、必要な排熱量や蒸気生成量を正確に把握しなければ活用できません。蒸気ボイラーを選定する際には、必要なエネルギー供給量を計算した上で、最適なボイラーを選択し、運用条件を特定します。排熱を効果的に利用するには、どのプロセスに供給すべきかが分かれば、コスト削減が可能です。
蒸気利用設備の熱収支を自動計算して定量化できる熱収支分析システムや工場・設備の蒸気流量の見える化が可能なクランプオン式蒸気流量計などを活用することで、現状を把握できます。
排熱利用は、製造工程で発生する熱を再利用して、エネルギー効率を最適化します。食品工場でも取り入れられています。排熱利用方法は、「蒸気の再利用」「排熱水の活用」「ヒートポンプの利用」です。現状を把握することで、工場に最適な排熱利用を組み立てることができます。排熱利用が上手くできると、省エネはもちろん、コストダウンも可能です。
食品工場向け熱収支分析システムを扱っている企業もあります。こうした企業に現状の熱収支状況の確認を依頼して、工場設備の課題解決につなげましょう。
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